2018/06/21 22:44

旧東ドイツであったこの辺りでは、錫などの鉱山発掘業が栄えていましたが、後に衰退していきます
もともと鉱夫の仕事だけでは厳しく、副業としていたドイツの森の木々を材料とした木工品、おもちゃ作りに活路を見出だすようになりました
細々とした家内工業が多く、出来たおもちゃは最初は行商でさばいていました
背中に背負うなどして苦労して売り歩く姿は、今でも人形のモチーフになって残っています
やがて販売を引き受ける業者が登場しても、暮らしはいっこうに楽にはならず、むしろ業者にマージンを搾取され生活は苦しくなっていきました
過重な労働が強いられ、子供もお年寄りも家族総出で、生活の為に夜遅くまで働いていたことが資料にも残されています
おもちゃ産業生き残りの必死さから、デザインなども工夫されていき、貴重な資源を無駄にしない、又値上がりした関税対策の為に、木工品はどんどんミニチュア化されていきました

しかしそのおかげで、エルツ特有の数々の伝統的技法、ミニチュア、マッチ箱、曲げ木箱、クリスマスアイテムなどが生まれたのです
次第に職人の養成学校もでき、伝統的な技法を学んだマイスターの資格を取った職人たちは、各工房で代々受け継がれてきたデザインなどを受け継いで現在に至っています
とても奥が深いエルツの木工品
私は歴史的背景を知る前と知った後では、木工品に対する見方がガラリと変わってしまいました
可愛いと眺めたり飾るだけでなく、ずっと大切にしていきたいなと思うようになりました
「ドイツおもちゃの国の物語」から一部引用